1: 木になる名無しさん 2022/05/16(月) 14:56:54.58 ID:CAP_USER9

枕詞に「実力派」とつく魔訶不思議な職業は、俳優くらいではないだろうか。それは、“実力派ではない人たち”がいるからこそ成り立っていた言葉である。いわゆる「大根役者」が対義語に当たるのかもしれないが、これまで日本の芸能界では、演技力が乏しくても、ビジュアルさえ良ければメイン抜擢されるケースが少なからずあった。しかし昨今では、そういった風潮が弱まり、「実力派俳優」「大根役者」という言葉が消えつつあるのではないだろうか。

この頃、いわゆる王道イケメン&美人ではないかもしれないが、演技が評価されてメインに抜擢されるという事象が相次いでいる。例えば、松下洸平は演劇畑で多くの賞を受賞していたが、ドラマ・映画・舞台でも長らく脇役として存在感を放っていた。だがNHK朝ドラ『スカーレット』(2019)で戸田恵梨香の相手役を務めるや、波瑠、吉高由里子、土屋太鳳など朝ドラヒロインを“沼落ち”させる演技で視聴者も魅了。

女性俳優では、上白石萌音がいま最も勢いのある1人と言えるだろう。映画『ちはやふる』(2016)では広瀬すずのかるた仲間、『溺れるナイフ』(2016)では小松菜奈の地味なクラスメイト役を演じていたが、主演ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(2020)で一大ブレイク。10年近くの下積みを経て、現在は舞台『千と千尋の神隠し』で、橋本環奈とWキャストを務めるまでに至った。


ほか、この頃勢いを見せる俳優陣を挙げてみると、柄本佑、仲野太賀、山田裕貴、磯村勇斗、伊藤沙莉、三浦透子、古川琴音、蒔田彩珠と、男女ともにいわゆる“実力派”ばかりだ。
当然今までも演技が評価されての抜擢はあったし、現在、王道イケメン&美人が活躍していないというわけではない。特に女性はビジュアル重視の色が強いように思うが、黒木華や松本まりか、江口のりこなど、若手以外でもこれまで“バイプレイヤー”として活躍してきた俳優陣の主役昇進が見られる。

俳優は演技力あってこそ、主役たるものビジュアルも華やかであるべき、とされてきた風潮が5年ほど前から少しずつ変わってきた。その流れを受けてか、田中圭や高橋一生、中村倫也、鈴木亮平など、これまで“王道イケメン”の脇を固めてきた“実力派”達が、続々と主役昇進を果たした。

思えば、昨今トップアイドルや人気モデルの俳優転向も少なくなったのではないか。少し前まで、他業種で人気が出たらとりあえず話題作りにキャスティング、という動きが多く見られた。だが、アイドルやモデル、芸人にしても、演技が下手であればすぐにSNSで叩かれる。元AKBにしても、俳優業を続けているのは、やはり演技力あってこその面々ばかり。他業種からの俳優転向のハードルは高まっているのかもしれない。


no title

【【芸能】「実力派俳優」の定義とは? 薄れゆく顔面至上主義と“ごり押し”キャスティング】の続きを読む